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TEL&FAX
042−697−4699
代表者氏名
生沼 尚貴
オイヌマ  ナオキ
保有資格
行政書士
知的財産管理技能士
測量士
経営法務コンサルタント認定
宅地建物取引主任者試験合格
登録・所属
日本行政書士会連合会
  第11082320号
東京都行政書士会
  会員番号 第8840号
東京都行政書士会八王子支部 会員
公益社団法人成年後見
  支援センターヒルフェ 会員
NPO法人著作権推進会議 理事
高齢者支えあいのネットワーク会員
行政書士実践実務研究会会員

遺言書作成支援


遺言について


遺言とは、本人が亡くなった後に法律上の効力を生じさせる目的で、遺贈相続分の指定相続人の廃除認知など、民法上の方式に従って行う意思表示のことを言い、遺言書とはその意思表示を文書として記録しているものです。

遺言書はただ書けば良いものではありません。法律上の効力がない遺言書はただの紙切れであり、法律上の効力が生じるものであってもその存在が見つからなければ、これもまた、ただの紙切れとなってしまいます。

遺言書は特に「遺贈」「相続分の指定」において、必要不可欠なものであり、意思を反映させるというだけでなく、本人が亡くなった後のトラブルを未然に防ぐ為にも活用されています。


「遺された家族の相続手続きの負担を減らすために」
「残された家族がトラブルにならないために」
「自分の財産の処分は自分の意思で決めたい」

 など、お考えの方は遺言書を作成しましょう!


そんな時は生沼行政書士事務所に、ぜひご相談下さい。
ご本人の意思を残し、実現させる為に1人1人に合った遺言書の指導・作成をお客様が満足されるまで親切丁寧な対応を行います。ご本人の意思を反映させる遺言書を一緒に作成してみませんか?

生沼行政書士事務所では、法律上の効力がある遺言書を作成、指導、保管を行い、遺言者が亡くなった後、意思通りに遺言書を執行します。遺言書の作成から執行させるまで責任を持ってサポートさせていただきますのでお気軽にご相談ください。


 目次

 1.遺言書の必要性

 2.遺言書作成をお薦めする事例

 3.遺言書作成のメリット

 4.遺言書でできること(財産)

 5.遺言書でできること(身分)

 6.遺言書でできること(その他)

 7.遺言書を作成する前に

 8.遺言執行者

 9.遺言書の種類

 10. 自筆証書遺言

 11. 公正証書遺言



遺言の必要性

相続で大事なことは「争続」にならない(もめない)ことです。
裁判になって長期化すると裁判費用が掛かりますし、弁護士に依頼すると弁護士費用もかかります。もめる背景には、遺産分割協議での相続分の不均衡以外にも「行方不明者がいる」「海外で連絡がつかない」「別れた相手に子どもがいる」「隠し子がいた」「家庭関係が複雑」「不動産が多い」などがあります。

遺言書がない場合は、法定相続分通りに相続するか、法定相続人全員の協議により遺産分配協議書を作成して相続するか、いずれかの方法になります。

そこで、次のような場合には、遺言書を作成しておく必要があります。

遺言書作成の薦める事項チェックシート

 夫婦に子供がいない場合

 再婚して連れ子がいる場合

 行方不明や判断能力の十分でない(認知症)親族がいる場合

 内縁の妻に財産を残してやりたい場合

 遺産が不動産だけで相続人がたくさんいる場合

 身寄りのない者がいる場合

 相続人がたくさんいる場合

 息子の嫁に財産を残してやりたい場合

 事業の全部を家族の中の一人に引き継がせたい場合

 相続の手続きの負担をできるだけ軽くしてあげたい場合

 法定相続人が居ない場合

 子供の相続に差をつけたい場合

 孫に相続させたい場合

 相続人以外の者に財産を贈りたい(遺贈したい)場合

 相続人の中に相続させたくない者が居る場合

 条件付で相続又は遺贈を行いたい場合

 遺言の執行を専門家に任せたい場合

一つでも該当する事項があれば、遺言書の作成をお勧めいたします。

遺言があれば、原則、その内容が実行されます。ただし、相続人全員で協議をし、その内容に納得できるなら、遺言によらず相続財産を処分できます。

遺言の内容は書き方次第で柔軟なものができます。


とりあえず遺言書を作成しておく!
それだけでも有効な効果があります!




遺言書作成をお薦めする事例


(1)夫婦に子供がいない場合

子供がいないと、お互いのご両親がなくなっている場合、被相続人の兄弟姉妹も、法定相続人になります。たとえば、夫の遺産の中に夫婦の自宅が含まれている場合、自宅に対して、夫の兄弟姉妹が1/4の相続権を主張できるのです。
残された配偶者がスムーズに相続手続を行えるように、夫婦がお互いに相手に財産を譲り渡すよう遺言を書いておくとよいでしょう。
兄弟姉妹には遺留分は認められていませんので、あとで財産を失う危険性もありません。


(2)再婚して連れ子がいる場合

再婚しても、再婚相手の連れ子と養子縁組をしていない場合、当然に法律上の親子になるわけではありません。再婚者の連れ子にも遺産を分けたり、前配偶者の子と再婚者の連れ子を平等に扱ってあげたい場合など、養子縁組をするか遺言を残しておく必要があります。
特に前配偶者の子及び再婚者の子が疎遠になっている場合、後々のトラブルを避けるためにも遺言を書いておくことをお勧めいたします。


(3)内縁の妻(夫)がいる場合

内縁とは、同棲していても婚姻届を出していないので、法律上の夫婦にはなっていないことを言います。内縁の夫婦の場合、相手がなくなっても法律上の相続権はありませんので、たとえば、夫が自宅を遺して亡くなった場合、夫の相続人(兄弟姉妹や親)から「家を出て行ってくれ」と言われてしまう可能性もあります。
そのような事態を避けるよう、是非遺言を書いておきましょう。


(4)遺産は不動産だけで、現金が少ない場合

遺産分割で手続きが大変になったり、トラブルになる可能性があります。唯一の遺産である自宅を複数の相続人で物理的に「分割」することはできませんし、共有という形にしても後々トラブルに発展する危険性もあります。
また、相続人同士が遠方に住んでいる場合などは、遺産分割の話し合いをしたり、相続手続の書類を集めたりするのも一苦労です。
遺言を書いておけば、相続人の負担を軽くしてあげることができ、トラブル防止にもなります。


(5)行方不明や判断能力の十分でない親族(認知症の親族)がいる場合

行方不明者や判断能力の十分でない人が自分の相続人となる場合には、遺産分割協議をするのも一苦労です。行方不明者の代理人を立ててもらうために、裁判所で不在者財産管理人を選任してもらう必要があります。また、判断能力が十分でない場合、裁判所で成年後見人等を代理人として選任してもらう必要があります。どちらも費用も手間も大変な手続です。
遺言を書いておけば、ご家族の負担をかなり減らしてあげることができます。


(6)身寄りのない人がいる場合

身寄りがない場合、遺産は最終的に国のものになります。遺言を書いておけば、生前にお世話になった人に財産を残してあげたり、いろいろな団体に寄付をして社会貢献をすることもできます。


(7)相続人がとにかく多い場合

相続手続がかなり面倒になります。また、相続人同士が疎遠になっていて、遺産分割協議でもめるケースもよく見受けられます。遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ成立しませんので、最終的に裁判所に遺産分割調停や遺産分割審判を申立てなければなりません。
また、相続税の申告が必要な場合には、10か月以内に相続手続を終わらせる必要があるので、相続人の負担も大変になります。
家族や親族が自分の遺産でもめるのを見たくない、相続人の負担をできるだけ軽くしてあげたいという方はぜひ遺言を書いておきましょう。


(8)お世話になった息子の嫁にも相続させたい場合

二世帯で同居している方などは、相続人の配偶者に大変お世話になったので、遺産を少しでもあげたいという場合もあるでしょう。相続人の配偶者は法律上の相続人ではありませんので、遺言を書かなければ、財産を残してあげることはできません。


(9)事業の全部を家族の一人に引き継ぎたい場合

事業を行っている方なら、自分の築き上げた会社を誰かに引き継いでもらいたい、と一度は考えたことがおありでしょう。しかし、相続人が複数いる場合には、自分名義の工場や不動産・機械器具類は、法定相続人全員で分割相続することになり、事業を特定の相続人に引き継ぐということができません。最悪の場合、廃業に追い込まれてしまうということもあるでしょう。
後継者を育てると同時に、スムーズに事業を引き継げるよう遺言を書いておきましょう。


(10)相続の手続きの負担をできるだけ軽くしてあげたい場合

相続人が大勢いたり、相続人同士が遠方に住んでいる場合には、遺産分割協議を行うのも一苦労です。話し合いのために何度も足を運んだり、不動産・株式・預金とうの相続手続をするのにたくさんの書類を集めなくてはなりません。
遺言を書いておけばそうした負担を最小限にとどめることができるのです。




遺言書作成のメリット

遺言書を作成することでの主なメリットは以下のものがあります。

(1)遺産を相続する人を自分で決められる

遺産は、自分が人生の中で得た大切な財産です。そんな大切な財産を自分の意思と関係なく相続されるのはいかがなものでしょうか。大切な財産なだけに遺産の分割方法は自分で決めることをお薦めします。


(2)遺産相続の争いを防いであげられる

これが本当に一番大きなメリットです。遺言書を残すことで、相続手続きで相続人同士がモメることは確実に減ります。
相続が発生すると、相続人全員の意見を一致させて手続きを進めなければいけません。一つ一つの財産をどう分配していくかを決めるのは非常に大変です。


(3)相続手続きの負担を減らしてあげられる

遺言書を残せば、何を誰にどの割合で相続させるか決められているので相続人全員で話し合う必要がなくなり、遺産分割協議書の作成も不要になります。
遺産分割協議は、相続人全員で行い、相続人全員の同意が必要です。人数が多くなればなるほどもめる原因が多くなり、相続人全員の同意を得ることが困難になります。
また、相続人に未成年がいると、特別代理人の選任を家庭裁判所に請求して、特別代理人を選任してもらわないと遺産分割協議を行うことができません。


(4)相続人以外の人にも遺産をあげられる

自分の大切な財産を自分を大切にしてくれた人にあげたいと思うことがあります。同居していた息子の嫁や孫、内縁の妻に財産をあげたいと考えていたが、彼らは、法定相続人に入っていませんので相続権がありません。自分を大切にしてくれた人達にも遺産をあげたいときは、遺言書に記載しなければなりません。


(5)直接は伝えづらいことも書ける

自分の気持ちを大切な人に直接伝えることは非常に難しいことです。とくに感謝の気持ちを伝えることは近しい人ほど恥ずかしいものです。そのようなときは、感謝の気持ちを遺言書に残すことをお薦めします。相続財産の分割方法を決めることも大切ですが、普段言えなかった感謝の言葉を書けるのも遺言書の良いところです。




遺言書でできること(財産)


(1)相続分の指定

たとえば、法律上妻の相続分は2分の1、子供の相続分は子供が二人いれば4分の1ずつですが、この割合を遺言で指定することができます。遺言書に記載すれば、妻の相続分は4分の3、二人の子供の相続分は8分の1ずつと指定することも可能なのです。


(2)遺産分割方法の指定
財産ごとに個別に誰に相続させるかを決めることができます。たとえば農地は長男に、預貯金は妻に、株式は次男に相続させるという内容の遺言を書くことができます。


(3)遺産分割の禁止

「自分の死後、3年間は自宅の遺産分割をしてはいけない」とうい内容の遺言書を書くこともできます。ただし、遺産分割を禁止できるのは5年以内の期間に限ります。


(4)遺言執行者の指定

遺言の内容を確実に実現できるように、誰かに手続を任せることができます。遺言執行者は遺言書で指定されるか、家庭裁判所に選任してもらうかのいずれかの方法によって初めてなることができます。「相続人=遺言執行者」ではありません。
遺言執行者は相続人でもなることができますが、内容によっては第三者を指定した方が良い場合もあります。遺言執行者に指定された人は就任を断ることもできるので、遺言執行者を指定するのであれば事前に了解をとっておいたほうが確実です。


(5)遺贈

遺贈とは、遺言者が遺言によって一方的に相続財産を与えることです。
遺言書を作成するときに、相手方から承諾を得る必要はありません。遺言書に「○○に預貯金を遺贈する」というように記載しておくだけです。ただし、遺言書で遺贈された財産を受け取るかどうかは、相手方の判断に委ねられます。
遺贈の相手方については制限がないので、相続人だけでなく第三者や社会福祉法人などの法人に対しても遺贈することができます。

遺贈は、その内容によって「包括遺贈」「特定遺贈」「負担付遺贈」の3種類に分けることができます。

包括遺贈
包括遺贈とは、「Aさんに相続財産の○分の1を遺贈する」「Bさんに相続財産の○%を遺贈する」といった具合に、遺贈する相続財産の割合を指定して行う遺贈のことです。
特定遺贈
特定遺贈とは、「Aさんに不動産の全てを遺贈する」「Bさんに○○銀行○○支店普通口座123456の預金を遺贈する」といった具合に、遺贈する相続財産を具体的に指定して行う遺贈のことです。
負担付遺
負担付遺贈とは、「Aさんに不動産を遺贈する。ただし遺された妻の介護をすること」といったように、相続財産を与える代わりに一定の義務を負わせる遺贈のことです。




遺言書でできること(身分)


(1)子の認知

認知とは、婚姻関係にない男女の間で生まれた子に父親の間に、法律上の親子関係を発生させることです。
「婚姻関係にない男女間でうまれた子」とは、一般的に事実婚や愛人関係の男女との間に生まれた子などがあります。
法律上では、婚姻関係のある男女の間で生まれた子のことを嫡出子といい、婚姻関係にない男女の間で生まれた子のことを非嫡出子といいます。
非嫡出子は、実態として血の繋がりがあったとしても、認知されない限り父親の相続では法的に相続権はありません。認知されることで初めてその子に相続権が発生します。
ただし、認知された子の法定相続分は実子の2分の1です。
遺言書で認知するときは、遺言者は遺言書にその旨を記載するだけです。その代り、相続のときに遺言執行者が役所への認知届等の必要な手続きを行います。


(2)推定相続人の廃除とその取消し

推定相続人の廃除とは、自分が死亡したときに相続人になるであろう人の相続する権利を、財産を遺す側の申立によって奪い取り、文字通り相続人から廃除することです。
相続人の廃除の取消しは、一度廃除された相続人を元に戻すことです。
遺言書で相続人の廃除や廃除の取消しをするときは、遺言者は遺言書にその旨を記載するだけです。その代り、相続のときに遺言執行者が相続人廃除の請求等の必要な手続きを行います。
相続人の廃除は最終的に家庭裁判所から許可をもらわなければいけませんが、相続人にとって重大な影響を及ぼすことなので、遺言書に書いたからといって必ず認められるわけではありません。


(3)未成年後見人、未成年後見監督人の指定

未成年者の親権者は、父と母が生存中は両方が親権者となり、一方が死亡した場合は残された者が単独で親権者となります。
しかし、残された親権者が死亡し、未成年者の子が遺されると親権者が不在となります。このとき、親権者の代わりである未成年後見人が必要になります。
未成年後見人は遺言書であらかじめ指定しておくことができ、遺言書がなければ死亡した親権者の親族等が家庭裁判所に申立をして選任してもらわなければいけません。
未成年後見人や未成年後見監督人の指定については、遺言書にその旨を記載するだけです。ただし、遺言書で指定された者は拒否することもできるので、確実に引き受けて欲しい場合は、事前にその旨を話して、指定する人の了解を取っておいたほうがいいでしょう。

未成年後見人
未成年後見人は、親権者と同一の権利義務を有します。監護養育、財産管理、契約等の行為を行います。未成年後見人になれるのは1名のみです。
未成年後見監督人
未成年後見監督人は、未成年後見人を管理します。未成年後見監督人の選任は任意なので、無理に選任する必要はありません。未成年後見監督人に人数制限はありませんが、未成年後見人になっている人の配偶者や兄弟姉妹等はなることができません。




遺言書でできること(その他)


1)祭祀継承者の指定

祭祀継承者とは、ご先祖様のお墓や仏壇仏具等の祭祀用具を受け継ぐ人のことです。
遺言書に指定がなければ慣習に従うことになり、それでも決まらなければ家庭裁判所に審判を申立て決定してもらいます。
祭祀継承者となる人は一人のみで、将来的に必要な祭祀料等の費用は祭祀継承者が個人で負担するようになります。遺言書で祭祀継承者を指定する場合は、このあたりの事情も踏まえて、他の相続人とのバランスを取れるようにできるかがポイントになります。
また、祭祀継承者はお墓や仏壇等の処分等を単独で決定することができます。他の親族等の同意を得る必要はありません。
祭祀継承者を相続人以外の第三者に指定することもできますが、トラブルの元になりやすいので、事前に親族や指定する者の承諾を得るようにした方がよいでしょう。


(2)一般財団法人の設立

一般財団法人とは、特定の個人や企業等から寄附された財産で設立・運営される法人のことで、会社のように営利を追求せず公益(学術、技芸、慈善)等の活動を行います。
このような一般財団法人の設立に必要な基礎財産を、自己の所有する財産から遺言書で寄附することができます。
遺言者は、財産を寄附して一般財団法人を設立する旨を遺言書に書くだけです。ただし、相続のときには一般財団法人を設立するための手続きを遺言執行者がしなければいけません。
遺言書で一般財団法人を設立しようとするときは、あとの手続きのために遺言執行者を指定しておくようにしてください。


(3)信託の設定

遺言書によって相続財産の信託の設定をするということは、相続財産を相続人等に直接相続させるのではなく、相続財産の管理運用を他人(法人も含みます。)に委託することをいいます。
委託を受けた人は、その財産を管理運用し、財産を委託した人の意志にもとづいて財産を処分します。
例えば、相続人が障害のある子供のみの場合、遺言書によって相続財産を信託銀行等に信託し、管理運用をしてもらいながら定期的に生活費を子供に渡してもらう、といった具合です。
相続財産をそのまま相続させてもその後が不安、といったような場合に有効な方法といえます。
ただし、信託は他人に財産を管理運用を任せることになりますので、委託先を見極め、事前に打ち合わせを行うことをお勧めします。




遺言書を作成する前に


(1)遺言書を作成できる人

遺言書を作成できる人の要件は、民法によって次のように規定されています。

  • 遺言書を作成するときに満15歳以上であること
  • 遺言書を作成するときに意志能力があること

この二つの要件を満たさずに作成された遺言書は【無効】になります。
『意志能力』とは、自分自身で物事を考え、判断し、その結果を認識できる能力のことです。


(2)共同遺言の禁止

2人以上の人が共同で遺言を書くことはできません。例えば、夫婦仲良く遺言を1枚の紙に書いたとしても無効になってしまいます。


(3)戸籍で推定相続人を確認する

自分が死亡したときに誰と誰が相続人になるのか、戸籍類を取って確認したうえで遺言内容を考えましょう。特に養子縁組は、縁組をしていると思っていたのしてなかったということもあります。


(4)財産目録を作る

相続財産は相続のときに相続人が調べますが、特に負債(借金やローン、連帯保証人になっている借金など)は、調べても全てを把握することが難しいものです。遺言書を書く前に自分の財産状況を把握するために、そして相続のときに相続人が苦労しないためにも財産目録を作成することをお勧めします。


(5)遺留分には十分に考慮する

複数人の相続人がいて、特定の相続人に全ての財産を相続させたり、第三者に対して多くの財産を相続させたりすると、遺留分が問題になることがあります。あとでもめないように遺留分には十分考慮しておきましょう。


(6)遺言執行者を指定しておく

遺言書は書いたら終わりではなく、相続のときにその内容が実現されてはじめて意味があります。遺言執行者を指定しておけば執行者がその手続きを行うので、相続人の負担を減らすことができます。遺言執行者は、相続人よりも手続きに慣れた専門家にしておくことをオススメします。


(7)意思能力に不安があるときは、医師の診断書を添付

遺言書を作成するときは、遺言者に意志能力がなければいけません。意志能力の有無は、相続のときに争いになる原因の一つで、争いになってしまうと証明が難しく長期化してしまうこともあります。「遺言書があるために争いになった」としないためにも、認知症の診断を受けている人や法定後見制度を利用している人は診断書を添付するようにしてください。


(8)保管場所も検討する

遺言書は、保管場所もしっかり検討してください。相続のときに相続人が発見できないと困るし、生きているときに見られるとその後の関係がぎくしゃくしてしまう可能性もあります。自分で保管することに自信がないのであれば、銀行の貸金庫や専門家に預けるという方法もあります。


(9)相続税の確認をする

遺言を作成する際には、相続税にも十分に注意しなければなりません。せっかく遺言を書いても、相続対策を十分にせず、多額の相続税がかかってしまっては今まで築いてきた財産が失われてしまいます。
相続財産が以下の計算よりも上回る方は相続税がかかる可能性があります。

 相続財産>3000万円+600万円×法定相続人の数

例えば相続人が妻1人、子供2人の場合、4800万円までは基礎控除額の範囲内で、相続税はかかりません。4800万円を超えると相続税がかかってくるため十分配慮して遺言を書かなければなりません。
ここで注意しなければならないのは、相続財産には、生命保険や相続開始前3年以内に亡くなった人から贈与を受けた財産も含まれるという点です。
基礎控除額を超えるようなたくさんの相続財産をお持ちの方は、一度税の専門家である税理士に相談することをお勧めします。




遺言執行者


(1)遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言者の死後、遺言の内容を確実に実現してくれる人のことを言います。遺言はその内容が実現できなければ意味がありません。不動産の名義変更、預貯金の解約や株式の名義変更等たくさんの手続きが必要になります。
遺言執行者には、未成年者や破産者を除いて誰でもなることができます。しかし、遺言の執行は手続きが複雑で専門的なことがあります。
また、相続人の一人が遺言執行者になると、他の相続人から相続財産を独り占めにしているなどのあらぬ疑いをかけられることもあります。
無用なトラブルを生まないためにも、利害関係人である親族を選任するよりは、行政書士など専門家や様々な相続手続きに精通した人を選任するほうが良いでしょう。


(2)遺言執行者が必要な場合

遺言執行者の指定は、遺言者が必要に応じて決めればいいのですが、遺言書に以下の内容のいずれか一つでもあるときは、相続のときに遺言執行者が必要になります。

  • 遺言書で子の認知をするとき
  • 遺言書で相続人の廃除、または廃除の取消しをするとき
  • 遺言書で一般財団法人を設立しようとするとき

これらの内容が遺言書にあるのに、遺言執行者が指定されていないときは、利害関係人が手続きをして家庭裁判所に選任してもらわなければいけません。
また遺言執行者に指定された人は、相続のときに「やらない」と拒否することができます。せっかく遺言書で指定しても拒否されると、結局、裁判所で選任してもらわなければいけなくなるので、遺言書を作成するときに承諾をもらっておくようにしましょう。


(3)遺言執行者の選任

遺言執行者は次の二つのいずれかの方法で選任されます。

  • 遺言書で遺言執行者として指定する
  • 相続のときに利害関係人(相続人等)が家庭裁判所に申立を行い、選任してもらう

遺言書で遺言執行者を指定するときには「○○○○を遺言執行者に指定する」といった具合に記載するだけで構いません。
ただし、指定された人からすれば、ある日突然「遺言書で遺言執行者に指定されているからヨロシク」と言われても戸惑うだけです。あとでトラブルにならないようにするためにも、遺言書を作成するときに承諾を得るべきです。
遺言執行者は相続人や第三者、社会福祉法人等の法人でも構いませんが、未成年者と破産者はなることができません。
遺言書で遺言執行者が指定されていると、相続のときに相続人は遺言書に書かれた遺産の処分を勝手にすることはできません。
遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、できるだけ早く遺言執行者に連絡するようにしてください。


(4)遺言執行者の仕事

遺言執行者に指定された人は、相続が始まると遺言執行者をやるのかどうか、返事をしなければいけません。断る場合でも理由は必要ありません。

いざ受けるとなれば、次のような仕事を行います。

  • 遺言執行者に就任した旨を相続人や受遺者(遺贈を受ける人)全員に通知
  • 遺産の調査をして財産目録を作成し、相続人全員に交付
  • 遺言書に子の認知がある場合は、就任してから10日以内に役所へ届出
  • 遺言書に相続人の廃除や廃除の取消がある場合は、家庭裁判所に必要な手続きをする
  • 遺言書に一般財団法人の設立がある場合は、遺言書の内容にもとづき必要な手続きをする
  • 遺言書の内容にもとづき不動産の名義変更、預貯金の解約・払戻し、その他財産の名義変更等の手続きをする
  • 全ての手続きが終了後、相続人や受遺者全員に業務終了の通知

遺言執行者の仕事で中心になるのは、不動産や預貯金などの名義変更等の手続きになってきます。
遺言執行者は相続人でもなることはできますが、これらの手続きは平日の日中に行わなければいけないことが多く、専門的な知識を必要とすることもあります。人によってはかなりの負担になることも考えられます。
また、遺言書の内容や相続人の状況によっては、遺言執行者が相続人だと公平性を欠くことになり、トラブルのもとになる可能性もあります。
遺言執行による手間や相続人間の公平性を考えると、場合によっては相続を専門に扱う専門家(行政書士、弁護士、税理士など)に依頼しておくことをオススメします。
専門家を遺言執行者に指定したい場合は、トラブルを防ぐために必ず事前にその旨を相談して承諾をもらうようにしておいてください。




遺言書の種類

民法では、以下の7種類の遺言が定められています。
方式
種類
特徴
普通方式
自筆証書遺言
遺言者本人だけで作成。最も簡単な遺言書
公正証書遺言
公証役場で公正証書として作成される遺言書。作成には遺言者以外に2人以上の証人が必要。
秘密証書遺言
遺言者本人が本文を作成し、証人2人と一緒に公証役場へ行き、遺言書の封印を行う。あまり利用されていない。
特別方式
一般危急時遺言
病気等で死期の迫った人が行う遺言。三人以上の証人の前で口授する。
難船危急時遺言
遭難した船舶に乗船中の人が、死期が迫ったときに行う遺言。二人以上の証人の前で口授する。
一般隔絶地遺言
伝染病などが原因で交通手段が遮断された場所にいる人が行う遺言。警察官一人、証人一人以上の立会が必要。
船舶隔絶地遺言
船舶中の旅客や乗務員が行う遺言。船長又は乗務員一人以上、証人二人以上が必要。

特別方式の遺言は、遺言者が普通方式の遺言が出来るようになってから6ヶ月生存した場合は無効となります。

この中で一般的に利用される遺言書の大部分は、普通方式の「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の二つになります。



自筆証書遺言


自筆証書遺言はいくつかの要件をきちんと守れば公証人に支払う費用なども発生せず作成することができます。
作成  全文自筆(財産目録はPC可)、作成した日付、署名押印
費用  無料
保管  遺言者が自分で保管(法務局に預けることができる)
開封  家庭裁判所で検認時に開封
メリット
  • 誰にも内容を知られずに書ける。
  • 費用がほとんどかからない。
  • 気軽に書き換えができる。
デメリット
  • 遺言の内容が曖昧であったり、法的に万全でなかったりしてトラブルになるケースが非常に多い。
  • 記載に誤りがあったりすると無効になる可能性がある。
  • 遺言を書き換えられたり、破られたり、隠されたりする危険がある。
  • 遺言が発見されない恐れがある。
  • 家庭裁判所の検認が必要(法務局に預ければ検認不要)。

自筆証書遺言自体は、遺言の文(財産目録以外)日付氏名をすべて自分の手で書き印鑑を押さなければなりません。できれば実印を押印し、封筒に印鑑証明と一緒に入れて実印で封印し、相続人や信頼できる第三者、または銀行の貸金庫に預けておくことをお勧めします。




公正証書遺言


公正証書は、公証人が作成しますので、強力な証拠力があります。
作成  遺言者本人と証人2人で公証役場に出向き、公証人が作成
費用  公証人手数料(相続財産の価額による)、その他がかかる
保管  原本は公証役場で保管、正本と謄本は遺言者が保管
開封  その場で開封できる
メリット
  • 遺言の内容や記載に誤りがなくなる
  • 本人が死亡したとき、家庭裁判所で検認手続きをする必要がない
  • 遺言の原本は、半永久的に無料で公証役場が保管するため、滅失・偽造などの心配がない
  • 本人が死亡したとき、その公正証書で登記などの手続きができる
デメリット
  • 費用がかかる
  • 利害関係のない証人が2人必要なこと
  • 書き換えにも費用と手間がかかる
  • 内容をしられてしまう

●公正証書の作成するために用意する書類

  • 本人の印鑑証明書
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 証人2人を決め、その住所、職業、氏名、生年月日を記載したもの
  • 遺産の内容が土地、建物であるとき、登記簿謄本、固定資産評価証明書

●公証人手数料

 1億円以内の財産なら   50,000円以内
 3億円以内なら      100,000円前後
 手数料表はインターネットでも公開されています。

●証人になれない者
 
 未成年・成年被後見人・被保佐人・推定相続人・受遺者・およびそれらの配偶者・直系血族

 ※費用はかかりますが、公証役場で証人を用意してくれます。


自筆証書遺言のデメリットを考えると、費用はかかっても
公正証書遺言の方が安全確実ですので公正証書遺言の作成
をお薦めします。





まずは電話・メールでお問い合わせ下さい。
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